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【第6号】インボックスゼロで実現する生産性向上
メールに振り回されない働き方を考える
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業務効率化ラボ
2024/09/30

親愛なる読者の皆さま、

業務効率化ラボの第6号をお届けします。


とある調査によると、ナレッジワーカーの80%がメールの受信トレイを開いたまま仕事をしているそうです。この結果を見る限り、多くの方々がメールに振り回されながら、非効率な状態に甘んじていることを表しているように思います。


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今回は、このような状況を改善するため、避けられない社外とのやり取りに使用する電子メールの効率的な管理方法について、「インボックスゼロ」という考え方を中心にご紹介します。


📧 インボックスゼロとは何か?

インボックスゼロは、受信箱を管理するためのテクニックであり、受信箱に届いた全てのメールを簡単に素早く処理するためのメソッドです。


インボックスゼロの本質

インボックスゼロの実践は、受信箱を空っぽにすることですが、これは手段であって、目的ではありません。この手法の真の目的は、メールに振り回されずに、本来のタスクに集中できる状態を維持することです。


インボックスゼロの特徴

  1. 脳と受信トレイの関係に着目 :
    メールボックスの状態ではなく、心理的負担の軽減が目的です。
  2. 受信トレイを最終目的地としない :
    メールは処理するべき情報であり、保管場所ではありません。
  3. タイムマネジメントの改善 :
    メール管理に費やす時間と労力を最小限に抑えます。
  4. 効果的なメール活用 :
    必要な情報に素早くアクセスできる環境を作ります。


導入メリット

  1. 時間の節約 :
    社外とのやり取りに関する処理時間が大幅に削減されます。
  2. ストレス軽減 :
    未読メールの山に悩まされることがなくなります。
  3. 重要タスクへの集中 :
    メール処理に費やす時間が減り、本質的な業務に集中できます。


🔧 インボックスゼロの実践方法

それでは具体的な実践方法を見ていきましょう。ここでは「1)メール処理の手法」と「2)集中時間を中断しない仕掛け」の2つの観点から、インボックスゼロに基づく快適なメール処理方法をお伝えします。


1)メール処理の手法(4つのDで分類する)

インボックスゼロの核心は、受信トレイに入ってくる各メールに対して、即座に意思決定ができるようになることです。この意思決定プロセスを4つのDで表現します。

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  • すること (Do)
    • 2分以内で完了できるタスクは、その場で実行します。
    • より時間のかかるタスクは、ワークマネジメントシステム(例:Asana)に登録します。
    • 具体的な手順:
      1. メールの内容を確認し、必要なアクションを特定する
      2. Asanaなどのタスク管理ツールにタスクとして追加する
      3. タスクに期限、優先度、詳細な説明を設定する
      4. 元のメールをアーカイブまたは適切なフォルダに移動する


  • 保留する (Defer)
    • 後で対応が必要なメールは、将来のアクションとして記録します。
    • 具体的な手順:
      1. タスク管理ツールに将来のタスクとして登録する
      2. タスクに適切な期限と優先度を設定する
      3. 必要に応じて、送信者に対応予定を簡潔に返信する
      4. 元のメールをアーカイブする


  • 誰かに任せる (Delegate)
    • 他の人が対応すべきメールは、適切な人に転送します。
    • 具体的な手順:
      1. 適切な担当者を特定し、メールを転送する
      2. その際に、コンテキストと期待される行動を明確に伝える
      3. タスク管理ツールでフォローアップタスクを作成する
      4. 元のメールをアーカイブする


  • 削除する (Delete)
    • 不要なメールは即座に削除またはアーカイブします。
    • 具体的な手順:
      1. メールの重要性を素早く判断する
      2. 将来参照する可能性がある場合はアーカイブ、完全に不要な場合は削除する
      3. 定期的に届くニュースレターなどは、優先度に応じて購読解除を検討する


2)集中時間を中断しない仕掛け

メール処理の速度を上げただけでは、この手法の効果は得られません。メールの受信トレイを最優先事項とはせず、以下のような改善策を実践しましょう。


  • 1.通知をオフにする
    • 通知のせいでフロー状態から離れ、集中作業が途切れることを防ぎます。
    • インボックスゼロでは、通知によりメールを確認するのではなく、能動的に適切なタイミングでメールチェックすることが重要です。
    • メールの通知を減らすか、完全にオフにすることで、重要な仕事の最中にフローから離れてしまうことを防げます。
    • 通知をオフにすることは、インボックスゼロを達成するための最も効果的な方法の一つです。


  • 2.メールの応答時間をタイムブロッキングする
    • タイムブロッキングとは、似たようなタスクをグループ化し、カレンダーにスケジュールするタイムマネジメント戦略です。
    • 朝一番に1時間のタイムブロックを作り、重要なメールをチェックして返信します。
    • 1日の終わりに、受け取るメール数に応じて30分から1時間ほどのタイムブロックを確保し、その日に届いたメールに返信します。
    • この方法により、重要でインパクトの大きな仕事に集中して取り組むことができ、受信トレイに振り回されずにメールに対応できます。


  • 3.メールの対応時間を設定する
    • インボックスゼロの最終目標は、メールの受信トレイに勤務時間を奪われないようにすることです。
    • メールに返信する時間としない時間を明確に決めます。
    • 自分にとって最適なメールの対応時間を考え、そのスケジュールをチームに知らせましょう。
    • 例えば、「急ぎのメールへの対応は平日の夜8時まで、週末はメールをチェックしない」といったルールを設定します。
    • このようなルールを設けることで、受信トレイとのつきあい方を改善し、より効率的な業務遂行が可能になります。


これらの方法が実践できるようになると、毎日のように届くメールに対するストレスはかなり軽減され、本来の業務に集中できるようになるはずです。


🔄 GTDメソッドとの関連性

インボックスゼロの提唱者であるMerlin Mann氏は、GTD(Getting Things Done)メソッドにヒントを得ています。両者には多くの共通点がありますので、ここで簡単に紹介しておきます。(※GTDとはDavid Allen氏により発表されたタスク管理手法)


  1. 外部化による心理的負荷の軽減
    • GTD: すべてのタスクや情報を信頼できるシステムに記録。
    • インボックスゼロ: メールを適切に処理し、必要な情報を外部システムに移動。
  2. 即時の意思決定
    • GTD: インボックスの項目に対して即座にアクションを決定。
    • インボックスゼロ: 各メールに対して適切なアクションを即座に実行。
  3. 定期的なレビュー
    • GTD: 週次レビューでシステム全体を見直し。
    • インボックスゼロ: 定期的に受信トレイを完全に空にする習慣を推奨。


その他、GTDでは、各タスクのコンテキスト(場所、ツール、見込まれる所要時間)による整理を推奨しています。このあたりをインボックスゼロの手法に応用してみるのも良いかもしれません。


💡 メールに関する実践的なTIPS

インボックスゼロの実践と並行して、以下のメール処理のTIPSを取り入れることで、さらに効率的なメール管理が可能になります。これらのTIPSは、インボックスゼロの考え方を補完し、日々のメール処理をよりスムーズにする助けとなるでしょう。


  • 1.スレッド表示の採用
    • GmailでもOutlookでも、スレッド表示を使用しましょう。
    • 最新のやり取りが上部に表示され、文脈を把握しやすくなります。


  • 2.デスクトップ通知のオフ
    • リアルタイムな通知は、メールの本来の目的に反します。
    • 本当に緊急性があるコミュニケーションは、電話など同期的な手段を使うべきです。


  • 3.ショートカットキーの活用
    • メール処理の速度を大幅に向上させます。
    • 1日100通のメールで1通あたり3秒節約できれば、年間で20時間の節約になります。


  • 4.アーカイブの積極的な利用
    • アーカイブしたメールも検索機能で簡単に見つけられます。
    • 受信トレイをスッキリさせることで、心理的な負担を軽減できます。


本日のまとめ

インボックスゼロの実践は、メール管理を効率化し、業務全体の生産性向上につながる重要な取り組みです。本日ご紹介した方法を参考に、ぜひ皆さまの日々の業務に取り入れてみてください。


社内コミュニケーションにはSlack、ワークマネジメントにはAsana、そして社外とのメールコミュニケーションにはインボックスゼロの手法。これらのツールと方法論を適切に組み合わせることで、さらなる生産性の向上が期待できます。


次回以降も、これらのツールの活用する方法について、より詳しくご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!


業務効率化ラボ運営チーム