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【第9号】Asanaで実現するワークマネジメント(後編)
Asanaで実現する目標管理の実践
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業務効率化ラボ
2024/10/30

親愛なる読者の皆さま、業務効率化ラボの第9号をお届けします。


これまでのニュースレターでは、Asanaを活用したタスクとプロジェクトの管理方法に加え、ワークロード機能によるリソース管理について、お伝えしてきました。


今回は、Asana活用の範囲を更に広げて、「目標管理とOKRの実践による組織パフォーマンスの向上」をテーマに、Asanaを活用した目標管理の方法について深掘りしてご紹介します。

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🎯 Asanaによる組織目標の管理

Asanaの最大の強みは、個々のタスクからプロジェクト、さらには組織全体の目標までを一元的に管理・可視化できる点にあります。日々の業務が組織のビジョンや戦略とシームレスに繋がることで、チーム全員が同じ方向を向いて業務に取り組むことが可能となります。

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なお、これからご紹介する目標管理機能を利用する為には、Asanaの有料プランを契約いただく必要があります。今回のニュースレターで興味を持った方は、是非、Asana公式サイトをご確認ください。


目標からタスクまでの階層構造

Asanaでは、以下のような階層構造で情報を管理できます:

  1. タスク:個々の作業項目。担当者や期限、進捗状況を管理。
  2. プロジェクト:関連するタスクの集合。プロジェクト全体の進捗や成果物を管理。
  3. ポートフォリオ:複数のプロジェクトをまとめたもの。部門やビジネスユニットの活動を俯瞰。
  4. 目標(ゴール):組織やチームが達成すべき長期的な成果。戦略的な方向性を示す。


この階層構造を活用することで、以下のメリットが得られます:

  • 日々の業務と組織目標の連動:個々のタスクがどのプロジェクト、どの目標に寄与しているかが明確になり、従業員のモチベーション向上につながります。
  • 進捗の可視化:リアルタイムでの進捗状況が可視化され、早期の問題発見と対策が可能となります。
  • チーム間のシナジー創出:部門やチームを超えた協力が促進され、組織全体でのパフォーマンス向上が期待できます。


🎪Asanaのゴール(目標)機能

Asanaのゴール機能は、組織の目標設定から達成までのプロセスを包括的にサポートします。ここでは、その主な特徴と活用方法について詳しく解説します。


目標の階層化と柔軟性

  • 組織全体の目標
     会社全体の戦略的なゴールを設定。
  • チームの目標
     各部門やチームが組織目標に連動した目標を設定。
  • 個人の目標
     各メンバーがチーム目標に貢献するための個別目標を設定。


組織、チーム、個人の目標については、それぞれの目標項目ごとに更に下位の目標を設定することができ、それによって、組織の特性やニーズに合わせた柔軟な目標管理が可能です。


例えば、年度のチーム目標の配下に、四半期ごとや月単位のチーム目標を設定する等の活用方法が考えられます。


進捗の可視化と分析

  • 数値指標による進捗管理
     定量的な指標を設定し、進捗をパーセンテージや数値で追跡。
  • 目標ごとのステータス管理
     順調、リスクあり、要対応などのステータスを設定。
  • ビジュアルな進捗表示
     チャートによる進捗の視覚的な把握。


上記以外にも、レポート機能を利用することで、チーム別や個人単位での目標のステータス状況などをダッシュボードに表示することが可能です。


プロジェクトやタスクの関連付け

  • プロジェクトやタスクとの紐付け
     目標と具体的なプロジェクトやタスクとの関連付けを明確化。
  • マイルストーンの設定
     重要な節目や期限を設定し、進捗管理を強化。


関連付けたプロジェクトやタスクの達成状況をその目標の進捗率の計算に用いることも可能です。


更に、最近のAsanaは、AIにも力を入れており、Asana AIを利用することで、目標の説明文の記載内容や下位目標や関連タスクの提案をAIにさせることができるようになりました。Asana AIの活用もお薦めです。


📊 目標設定の作法を知る

目標管理においては、組織の文化や業界特性に応じて適切なフレームワークを選択することが重要です。ここでは、世界的に広く採用されているMBOOKRの2つの手法を紹介します。


MBO(Management by Objectives)

MBOは、ピーター・ドラッカーが提唱した伝統的な目標管理手法で、組織と個人の目標を一致させ、明確な達成基準を設けることを目的としています。

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1.目標設定の方法

  • 合意による目標設定
    上司と部下が協議し、現実的で達成可能な目標を設定。
  • SMARTの原則の活用
    • Specific(具体的)
    • Measurable(測定可能)
    • Achievable(達成可能)
    • Relevant(関連性がある)
    • Time-bound(期限がある)


2.運用の特徴

  • 定期的な評価
     年次や半期ごとに目標達成度を評価し、報酬や昇進に反映。
  • トップダウン型のアプローチ
     経営層から部門、個人へと目標が展開。
  • 安定した環境での適用
     市場や業界が安定している場合に効果的。


OKR(Objectives and Key Results)

OKRは、インテルやGoogleなどのハイテク企業で採用され、近年多くの企業で注目を集めている目標管理手法です。


1.目標設定の方法

  • 大胆で挑戦的な目標(Objective)
     組織のビジョンやミッションに直結する野心的な目標を設定。
  • 測定可能な成果指標(Key Results)
     Objectiveを達成するための具体的な指標を3~5つ設定。


2.運用の特徴

  • 四半期ごとのサイクル
     短いスパンでの目標設定とレビューにより、環境変化に柔軟に対応。
  • 透明性の高い共有
     組織全体で目標を公開し、部門間のシナジーを促進。
  • 報酬と切り離した評価
     失敗を許容し、学習と成長を重視。


MBOとOKRは目標の設定方法や評価の仕組み、環境への適応性などの点で大きく異なります。


達成可能で現実的な目標を設定し、確実な成果を目指すことが重視されるMBOに対して、OKRは、挑戦的で野心的な目標を設定することによる組織や個人の成長を重視しています。


目標達成度が報酬や昇進に直接関連することが多いMBOに対して、OKRでは目標と報酬を切り離して考えることが多いのは、その特徴に拠るものと言えるでしょう。


また、世の中の変化に合わせて目標を調整する柔軟性は、MBOよりもOKRに見られる特徴であり、その組織が何を重視するかによって、どちらの目標設定フレームワークを用いるべきか、その判断は変わってくるはずです。


それぞれの手法の特徴を理解し、組織の状況や文化に合わせて適切に選択することが重要です。


📈 AsanaでのOKR実践方法

もしも、皆さんがOKRを採用したいと思ったとしたら、Asanaはベストな選択だと思います。Asanaを活用することによって、より効果的なOKR運用が可能となるでしょう。


ここでは、AsanaでOKRを実践するための具体的なステップと注意すべきポイントをご紹介します。


OKRの基本構造の再確認

OKRの基本構造をおさらいしておきましょう。定性的な目標に対して、その目標を測定するための成果指標を3~5つ定めるのがOKRの基本的な枠組みとなります。


  1. Objective(目標)
    • 定性的でインスピレーションを与える目標
    • 組織やチームの方向性を示す
    • 達成期限を明確に設定
  2. Key Results(主要な成果指標)
    • 具体的で測定可能な指標
    • 数量化された目標値を設定
    • Objectiveの達成度を評価


Asanaでは、上位のゴールにObjective(目標)を設定し、その下位のゴールKey Results(成果指標)をリンクさせることになります。年間OKRの下位に四半期OKRを設定する方法や、組織全体のOKRの下位にチームOKRを設定する方法もあるでしょう。実際の運用においては、このハイブリッドになることも多いでしょう。


Asanaでの運用方法

ここでは、組織全体のゴールを実現するためのチーム目標を設定する前提で、AsanaでのOKR運用のステップをご紹介します。


1. 目標の設定

  • 組織目標の作成
     Asanaの「ゴール」機能で会社全体のObjectiveを設定。
  • チーム目標の展開
     各チームが組織目標に連動したObjectiveを設定。
  • Key Resultsの設定
     各Objectiveに対して3~5つのKey Resultsを作成。
  • 関連プロジェクトのリンク
     Key Resultsと具体的なプロジェクトやタスクを紐付け。


2. 進捗管理と更新

  • 定期的な進捗更新
     週次または月次でKey Resultsの進捗を更新。
  • コメント機能の活用
     進捗に関するコメントや課題を記録。
  • ダッシュボードの活用
     Asanaのダッシュボード機能で全体の進捗を可視化。


3. フィードバックと調整

  • 定期レビューの実施
     四半期末にObjectiveとKey Resultsの達成度を評価。
  • 学習内容の共有
     成功事例や学んだ教訓をチーム内で共有。
  • 次期目標への反映
     評価結果を基に次のサイクルの目標を調整。


Asanaでの各ゴールに対して、進捗とステータスの入力を促すリマインダーを自由に設定できます。(※週単位や隔週単位、月単位、四半期単位など)


下位のゴールに設定したKey Results(成果指標)を定期的に更新することで、上位のゴールに設定したObjective(目標)の進捗が可視化されます。


具体的なAsanaでの設定例

ここでは、具体的なイメージを持ってもらうために、OKRの具体例を示しておきます。

    Objective 「市場シェアを拡大し、業界トップ3に入る」

    Key Results

    1. 新規顧客獲得数を20%増加
      マーケティングチームのプロジェクトと連動。
    2. 顧客リテンション率を85%から90%に向上
      カスタマーサクセスチームのタスクと紐付け。
    3. 主要製品の売上を15%増加
      営業チームの活動とリンク。


    Asana上でこれらを設定することで、各チームが自分たちの役割と目標への貢献度を明確に理解できるようになります。


    💫 目標管理成功に向けたポイント

    効果的な目標管理は、組織全体のエンゲージメントとパフォーマンスを高めることに繋がります。ここでは、Asanaを活用した目標管理を成功させるためのポイントをまとめます。

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    全員参加型の目標設定

    • オープンなコミュニケーション
       目標設定プロセスの中で、メンバーが意見を表明できる環境を作る
    • 目標の共有と理解
       組織全体の目標を全員が理解し、自分の役割との関連性を認識する
    • フィードバックループの確立
       定期的なフィードバックを通じて、目標達成への道筋を調整する


    進捗のモニタリングとサポート

    • リアルタイムな進捗確認
       Asanaのダッシュボードやレポート機能で最新の状況を可視化する
    • 問題の早期発見と解決
       問題が発生した場合、迅速に対処できる体制を整備する
    • 成功の可視化と共有
       小さな成功もチーム内で共有し、モチベーションを維持する


    継続的な学習と改善

    • 振り返りの実施
       目標の期限終了時に、成果と課題を評価する
    • ベストプラクティスの文書化
       成功事例や効果的なプロセスを記録し、組織全体で共有する


    20名以下の組織での実践ポイント

    更に、小規模組織では、柔軟性と迅速性が求められますので、以下のポイントを特に意識しましょう:


    1. シンプルな目標設定
       過度に複雑な目標や指標を避け、焦点を絞る
    2. コミュニケーションの強化
      全員が顔を合わせてディスカッションできる環境を活用する
    3. ツールの統合活用
       Asanaを中心にとしたコミュニケーション基盤を活用する
    4. 文化の醸成
       オープンで協力的な組織文化を育て、全員が主体的に動く


    🎓 次回予告

    次回以降は、業務効率化のための第3の重要ツールである「Notion」を活用したナレッジベース構築をテーマにお送りします。


    日々の業務から生まれる知見やノウハウを、どのように効率的に蓄積・共有し、組織の知的資産として活用していくかは、多くの企業や組織にとっても課題となっているはずです。


    それでは、次回のニュースレターでお会いしましょう!

    業務効率化ラボ運営チーム